御岳登山鉄道は1935年に開業したケーブルカー路線です。東京都青梅市にある御岳山(標高929m)の中腹=滝本駅(標高407m)から山頂付近=御岳山駅(標高831m)を、片道約6分間で結びます。登山客、ハイカーの皆様のための観光路線としてだけでなく、山頂集落で暮らす住民の皆様の生活路線として親しまれています。
ケーブルカーはその名のとおり、鋼索(ケーブル)で繋がれた車両を巻上機等で巻き上げて運転する鉄道です。 武蔵号(車体色:緑)と御嶽号(車体色:赤)は、1本のロープの両端に1両ずつつながっており、エンジンに当たる巻上装置を回転させると、一方が坂を上り、もう一方が坂を下るようにできています。
全長:1.107km
高低差:424m
駅数:2(滝本駅、御岳山駅)
所要時間:6分
開業:1935(昭和10)年1月1日
寸法:全長12m・全幅2.9m・全高3.68m
重量:9.8t
約80年の歴史を持つ御岳ケーブルカーの安全を守っているのが、四重のブレーキシステムです。
1.常用ブレーキ(自動式)
圧縮空気を溜めておき、この空気がかかるとブレーキが作動する方式。装置が作動している間だけブレーキを閉めることができ、圧縮空気を抜くとブレーキを緩める状態になります。普段は機械で自動制御していますが、手動で動かすこともできます。
2.非常ブレーキ(電気制御)
緊急時に運転室および車掌席の非常停止ボタンを押すと、いかなる場合でも即座に車両を停止させることができます。
3.非常ブレーキ(機械制御)
車両の溝車輪の周囲にある機械が、レールをがっちりと挟み込んで車両を止めます。ロープが切断されるなど、ロープの力がなくなると自動的に作動します。また、車両の車掌席にあるペダルを60kg以上の力で踏んだ場合も作動し、物理的に車両を停止させます。
4.自動停止装置
駅のホーム下には、ケーブルカーを自動的に停止させる電気回路が設置されています。通常は考えられないことですが、もし何かの理由で車両が停止位置を通過してしまいそうになっても、ブレーキが回路にぶつかると強制的に非常ブレーキがかかります。
ケーブルカーは、その名の通り、鉄製のロープを束ねたケーブルで車両を引っ張って急勾配を上り下りする乗り物。「武蔵号」と「御嶽号」の2両を同時に動かすのが鉄則で、運転はすべて御岳山駅にある運転室で行います。
ケーブルカーは、レールの上を鉄の車輪で走る鉄道の仲閒。レールは、一般的な鉄道と全く同じものを使っています。しかし、車輪は独特の構造を持っており、左右で異なる形をしています。
溝車輪
車輪の外側、内側両方が出っ張っており(フランジといいます)、レールを車輪の溝で包み込むような構造になっています。この車輪がレールをしっかり掴んで、脱線を防いでいるのです。
平車輪
溝車輪とは逆に車輪に出っ張りがなく、幅の広いローラーのような形をしている、ケーブルカー独特の車輪です。こちらの車輪は、レールの上に乗っているだけです。